「12月8日」

麻酔が醒めた時、全て空ッぽになってた。
また自分一人の体に戻った。
台に上がる前、死刑を宣告された囚人だった。震えが止まらなくて、吐き気が襲ってきて。身体中カラ 噴き出す脂汗が、貴方と一秒でも一緒に居られる最後の抵抗だったのかもしれない。
立ちくらみに朦朧として、あの明かりが照らされて、
「麻酔を…」
の一言の後、記憶が途切れた。














目が覚めて、還って来ないとわかったら涙が出た。

帰り道、歩いていても涙が止まらなかった。
タクシーに乗って、ドライバーサンに言われた一言が忘れられない。
「次の子は、亡くなった子のぶん、いい子と巡り合えるわよ」









これが慰めなのはわかってる。でも今こんな事言われたら、信じてしまう。

こんな勝手な女、本当に最低だ。
人殺しをした罪は、消えないのに。